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恐ろしいタバコの話

こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。

タバコは健康に良くない、というよりもはや不健康の代名詞と言ってもいいくらいによく知られていることですが、一体何がどう悪いのか?、具体的にどういう病気に繋がるのか?、今さら禁煙して意味があるのか?

あまり詳しいことは知りませんよね

今回からはそれらの疑問に答える形でタバコの恐ろしさと健康への影響について説明していきたいと思います!

この記事を書いた人

べっちょむ先生

資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。

消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。

一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。

目次

1 喫煙者の割合

たばこを吸う人の割合は男性で27.1%女性で7.6%全体で16.7%です(2019年)。

かつて1995年では男性で約50%であり減少傾向にありますが、女性は10%前後を推移しており横ばいからやや減少といったところです。タバコの害がよく言われるようになり堂々とタバコを吸える所がどんどん減ってきていることからも喫煙者が減少傾向にあることはわかりますが、パーセントで見るとまだまだ多いですね。

2 タバコに含まれる有害物質

タバコには5300種類もの化学物質が含まれており、その中でも特に健康に与える三大有害物質といわれるものがニコチン、タール、一酸化炭素です。他にもダイオキシンやヒ素など怖い物質も含まれています。

①ニコチン

まずニコチンは中枢神経に作用して脳内でドーパミンを活性化して興奮快感を感じさせる作用があります。また、血管収縮作用があるため血圧を上昇させます。そして何より、ニコチンは依存性があるのが特徴的です。

②タール

タールはいわゆる「ヤニ」のことで、歯の黄ばみやタバコを吸っていた人の肺が黒くなるのはタールが原因です。

そして、タールには多数の発癌物質が含まれています。

③一酸化炭素

一酸化炭素は酸素の250倍もヘモグロビンとくっつきやすい特徴があり、一酸化炭素が体内に入ると酸素の運搬量が減少して酸欠状態になってしまいます。その状態が持続すると、血管の動脈硬化が進んでいきます。

3 リスクが高まる主な疾患

タバコによりリスクが高くなる疾患としては癌と呼吸器疾患、動脈硬化性疾患、糖尿病、歯周病などがあります。

また、日本人では20歳より前に喫煙を始めると男性は8年女性は10年寿命が短縮されると言われいます。

①癌(悪性腫瘍)

タバコによる発癌リスクは肺癌だけでなく喉頭癌(5.5倍)や舌癌(2.7倍)、食道癌(3.4倍)、膵癌(1.6倍)、尿路癌(尿管癌、膀胱癌)(5.4倍)などほとんどの癌で高くなります。肺癌は4.8倍、癌全体では2.0倍といわれています。

例えば肺癌であれば喫煙係数という指数を使って、吸わない人を1とした場合の肺癌リスクを表しており、喫煙係数が400を超えると特にリスクが高くなることがわかります。

②呼吸器疾患

喫煙により慢性閉塞性肺疾患(COPD)という、かつては肺気腫とよばれていた疾患になりやすくなります。具体的には毎日20本を20年間吸い続けた場合になりやすいとされており、肺がボロボロになって咳や痰、息切れの症状が出てきます。さらに進行すると普段の生活でも酸素が必要になったり、最終的には車イス生活になったりCOPDで命を落とすこともにもなり得る疾患です。

③動脈硬化性疾患

動脈硬化は一酸化炭素を中心とした有害物質により進行していきます。症状はなく知らない間に進んで、ある時脳や心臓の血管が詰まってしまうのが脳梗塞心筋梗塞で半身不随麻痺になったり命を落としてしまうという転帰に繋がってしまいます。ずっと無症状だったのにある瞬間から人生が180度変わってしまう疾患ですので非常に怖いですね。

4 受動喫煙

タバコを吸っても自分の命なんだから好きに吸わせてくれ!という気持ちの人もいるかもしれませんが、忘れてはいけないのがタバコの煙による副流煙を吸った周りの人への健康被害です。

副流煙に含まれる有害物質は主流煙の数十倍と言われており、今まで説明してきたような病気になるリスクが高くなってしまいます。特に妊婦さんでは流産や早産、低出生体重児などの大きなリスクがあり、子供では喘息や発達障害、将来の発癌リスクの増大などが挙げられます。

これらのことを改めて知ってもらうと、自分だけの問題ではなく禁煙の大事さを分かってもらえるのではないでしょうか。

5 まとめ

タバコの健康に対する影響や有害物質について説明しました。タバコは自分だけの問題ではなく、周りの人への受動喫煙も無視できません。また、日本人では20歳より前に喫煙を始めると男性は8年、女性は10年寿命が短縮されると言われたり、1本吸う毎に5分30秒寿命が短縮されるといわれています。それだけ悪いものなのに男性の4人に1人はタバコを吸っていているというのは多いなと思います。

最近は加熱式タバコが普及していたりシーシャ(水タバコ)が流行っていますが、この辺についても気になると思います。次回は加熱式タバコシーシャの健康への影響について分かりやすく解説していきたいと思います!

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