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病院で処方される睡眠薬② ~デエビゴ、ベルソムラ、ロゼレム~

ベンゾジアゼピン系の薬って副作用が多いみたいですね。

十分な睡眠をとれなくて眠剤を飲みたいときにもっと安心して飲める薬は無いのかな?

こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。

前回は睡眠薬で最もよく使われるタイプのベンゾジアゼピン系薬というものについて解説しました。即効性があり、不安症や筋緊張なんかにも使えて便利なお薬ですが、依存や耐性、筋弛緩作用など副作用も少なくないというものでした。

最近はそれらの副作用を軽減して比較的安心して使えるお薬も出てきていて、不眠に対する初手として使われるお薬になってきているのが今回紹介するデエビゴ、ベルソムラ、ロゼレムです。

今回はそれぞれの特徴について解説していきます!

この記事を書いた人

べっちょむ先生

資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。

消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。

一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。

目次

1 デエビゴ、ベルソムラ

デエビゴ、ベルソムラという2つのお薬はオレキシン受容体拮抗薬といわれるタイプで覚醒を弱くすることにより睡眠作用を引き起こします。通常、内服後30分~1時間程度で効果が現れ、効果の持続は8時間程度といわれています。

寝つきが悪い人にも途中で目を覚ましてしまう人にも効果があり、また、依存や耐性、筋弛緩作用(転倒のリスク)は少ないというメリットがあります。

デメリットとしては、半減期(薬が体内から半分排出されるまでの時間)が50時間もあり、人によっては翌朝にも眠気を持ち越してしまうことがあります。そのため、内服した翌日に運転や危険な作業を行うことは避けてください。また、レム睡眠を増やす作用があるため、夢(悪夢をみることも)を見やすいというデメリットも挙げられますが、頻度は5%以下でそこまで多くはありません。

僕は不眠治療の第一選択肢にこれらの薬を処方することが多いです。

2 ロゼレム

ロゼレムというお薬はメラトニン受容体作動薬といわれるタイプで体内時計(自然な睡眠サイクル)を調節するメラトニンを助けて、昼夜逆転してしまっている人に特に効果的なお薬で主に入眠を助ける作用があります。

通常、内服後30分~1時間程度で効果が現れ、効果の持続は数時間程度といわれています。

デエビゴ、ベルソムラと同様に依存や耐性、筋弛緩作用(転倒のリスク)は少ないのがメリットです。また、半減期は1~3時間程度で日中に眠気を持ち越すことは少ないです。

デメリットとしては、効果が安定するまで数日から数週間かかることが挙げられます。自然な睡眠サイクルを整えるため、継続的な使用によりその効果が安定します。

3 睡眠薬を飲むと認知症になりやすいの?

患者さんから「睡眠薬を飲んでいると認知症になりやすいって聞いたんですけどどうなんですか?」という質問を受けることがあります。

過去の研究で、ベンゾジアゼピン系薬を使用した場合に認知症になりやすいという結果のものもあればそうでないというものもあり、現状睡眠薬と認知症の関連性ははっきりしていません。また、そもそも不眠が認知症のリスクを高めると言われており、やみくもに認知症になることを恐れて薬を飲まないと不眠が続いて逆に認知症になりやすくなってしまう可能性があります。

4 睡眠薬のやめ時

睡眠薬の目的は何か知っているでしょうか?

実は睡眠薬の目的は「寝ること」ではなく、「日中に活動的に動けるようにすることなんです。ですので、睡眠薬を飲んで日中目が冴えて元気に動けるようになっている場合は、一度中止を検討してみてもいいかもしれません。

但し、中止するときに急に中止すると、特にベンゾジアゼピン系薬では離脱症状(不安や不眠、発汗、ふるえなど)が出ることがあるので医師のと相談してゆっくり減量していく必要があります。また、今回紹介したデエビゴ、ベルソムラ、ロゼレムについては依存や離脱症状が少ないですが、長期間内服していた場合にはやはり段階的に中止することが望ましいです。

5 非薬物療法

これまで不眠に対してのお薬(薬物療法)について解説してきましたが、薬は不眠に対する根本的な治療にはなりません。薬を飲まなくても体が自然に眠りにつけることができれば一番いいですよね。そのためには、カフェインやアルコールの摂取を控える(特に夕方以降)、夜遅くに食事をしない、ストレスを溜め込まない、寝る前にブルーライト(スマホ、パソコン操作)を避けて朝は日光を浴びる、などなど睡眠に良いことを試してみましょう。

非薬物療法は時間がかかることが多いですが、長期的には薬物療法よりも持続可能な解決策となることが多いです。

5 まとめ

厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査」では、日本人の約20~30%に日中の眠気やだるさを感じていて、20%に何らかの睡眠障害を自覚しているようです。夜眠れないと日中の活動レベルが下がってしまい、一日中つらいという状態になってしまします。寝ることが如何に大事かということですよね、もはや寝るために生きるくらいの気持ちで生きてもいいと思います笑。

今回ご紹介した薬物療法と非薬物療法を組み合わせて、良質な睡眠をとって充実した日常生活、人生を送っていただけたらと思います!

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