夜眠れないから睡眠薬をよく使ってますけど、くせになったり認知症になるって聞いたことがあって、あまり使わない方がいいんですよね?
睡眠薬は一度飲んだらやめれなさそうなイメージがあって、まだ飲んだことないですけど、安全なものかどうか気になります…
こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。
睡眠薬に対するイメージは人それぞれだと思いますが、「一度使いだしたらくせになってやめられなさそう」とか「使いすぎたら認知症になり易い」といった良くないイメージを持っている方も多いと思います。
また、飲まないと眠れないから、なんとなく後ろめたさを感じながらも結局毎日内服している、という方も少なくないと思います。
実際、睡眠薬を飲むことで良くない副作用があることは事実ですが、ひとことに睡眠薬と言っても種類がたくさんありますしそれぞれにメリットとデメリットがあります。この記事を読んで、睡眠薬の作用と副作用はどんなものがあるのか、自分が飲んでいる睡眠薬はどういうタイプなのか理解していただけたらと思います!
この記事を書いた人
べっちょむ先生
資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。
消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。
一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。
1 睡眠薬について
睡眠薬とひとことに言ってもベンゾジアゼピン系薬やオレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬という種類があります。ベンゾジアゼピン系薬は以前からよく使われているタイプの薬で、副作用の少ないオレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬というタイプの薬がここ最近出てきています。
今回はまず、ベンゾジアゼピン系薬について、まとめていきます。
2 ベンゾジアゼピン系薬
ベンゾジアゼピン系薬と言われても聞いたことない方が多いと思いますが、睡眠薬で一番よく使用されているタイプになります。
お薬が脳内のGABA受容体に結合してストレスを和らげたり、脳の活動を休ませて眠りへ導くという作用で効果を発揮します。
ストレスを抑えるというフレーズのGABAっていうチョコレート流行りましたよね、それですね!
代表的なお薬を表にまとめてみました。(ちなみに非ベンゾジアゼピン系薬とは、ベンゾジアゼピン系薬と構造が違うもののGABA受容体に結合して作用するため薬の働き方は同じです。一緒と考えてもらって大丈夫です。)
寝つきが悪い人に使うタイプや途中で目が覚めやすい人に使うタイプなど効果に違いもあります。
3 ベンゾジアゼピン系薬のメリット
ベンゾジアゼピン系薬のメリットは何といっても即効性があることです。また、不眠だけでなく不安の軽減や筋肉を和らげる作用もあり、多くの症状に対して効果を発揮することもメリットとして挙げられます。
4 ベンゾジアゼピン系薬のデメリット
即効性があり不眠以外にも使えるというメリットがある反面、実はデメリットが少なくありません。
①依存
長期間使用していると身体的にも精神的にも依存を形成してしまうことが多く、中断すると離脱症状が現れることがあるので注意が必要です。
離脱症状として、不安や不眠、発汗、ふるえなどの症状が出ることがあり、中止する場合には段階的に減らしていく必要があります。
②耐性
使っているうちに効き目が悪くなって、量を増やさないと眠れなくなることを耐性といい長期間使用していると起こることがあります。
③筋弛緩作用
メリットで挙げたように、ベンゾジアゼピン系薬には筋肉をほぐしたり和らげる作用があるのですが、反面でふらつきや転倒の原因となることがあります。
特に、高齢の方が転倒して大腿骨骨折した場合、5年生存率は20-40%といわれていますので注意が必要です。
④翌日への眠気の持ち越し
作用時間が長い薬剤だと翌日にも効果が持続してしまって日中にも眠たいということが起こってしまいます。そもそも、日中に活動的に動けるために睡眠薬を使ってでも夜眠れるようにしているのにこれでは本末転倒です。日中に持ち越してしまう場合はお薬の種類を変えてもらいましょう。
5 まとめ
今回は睡眠薬でよく使用されるベンゾジアゼピン系薬というタイプについて解説してきました。
睡眠薬で一番よく使われているタイプで即効性があったり不眠症以外にも適応があり便利なお薬ですけど、実は副作用やデメリットが多いお薬なんです。
次回は、副作用の少ない薬剤であるオレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬について解説していきますので引き続きみていってください!
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