こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。
前回は肝酵素が上昇を指摘された場合について、よくある疾患や治療について解説しました。
健診などで肝臓の数値と並んで測定されるビリルビンという数値があり、高くなると黄疸(おうだん)になります。
黄疸という言葉を聞いたことのあるけど詳しくは知らないという方は結構多いんじゃないでしょうか?
今回は黄疸とビリルビンについてまとめていきたいと思います!
この記事を書いた人
べっちょむ先生
資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。
消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。
一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。
1 黄疸とは?
黄疸とは白目や皮膚が黄色くなることで、血液中のビリルビンという物質が増加することにより生じます。
ビリルビンは寿命を終えた赤血球が脾臓で破壊されて生じて、肝臓で間接ビリルビン→直接ビリルビンに変換され、最終的に腸に流れ出て便の黄色い色のもとになります。
この過程で、何らかの異常が生じた場合に血液中にビリルビンが漏れ出して黄疸が生じます。
2 黄疸の症状
症状としては、前述のように白目が黄色くなったり皮膚が黄色くなることが特徴的です(ビリルビン値が2〜3mg/dL以上になると目で見てわかるくらいになります)。
その他にも、皮膚の痒みが出たり、閉塞性黄疸という病態では便が白くなったり、尿が濃くなります。
3 黄疸を呈する疾患
①体質性黄疸
健康診断でビリルビンが高いと指摘された場合は体質性黄疸であることが多いです。
先天的な遺伝の異常によるもので種類はたくさんあるのですが、ほとんどがGilbert(ジルベール)症候群という疾患です。人口の2〜5%程度にみられ、体調不良やストレスがかかった場合にビリルビンが少し上がりますが、肝臓の数値(AST,ALT)は正常です。治療の必要はありません。
②閉塞性黄疸
肝臓で生成された直接ビリルビンが胆道を通って腸に流れていく過程で、胆道で何らの通せんぼがあって腸に流れず胆道に溜まることを閉塞性黄疸といいます。胆石と悪性腫瘍(膵癌、胆管癌、胆嚢癌等)が二大原因です。
症状としては、便が白くなったり、尿が濃くなることが他の黄疸との違いとして特徴的です。
・膵癌や胆管癌は早期に発見することが難しく予後が不良な疾患なのですが、黄疸が初期症状として出現することがあり早期発見に繋がることがあります。
・胆石が原因の場合は内視鏡で胆石を除去する必要があります。
③肝硬変、急性肝炎、肝不全
肝臓の働きが低下するとビリルビンを処理できずに黄疸を引き起こします。肝硬変、急性肝炎、肝不全は肝機能が低下して黄疸を呈します。
急性肝炎は一時的に肝臓で炎症が起こっており治療により多くは改善しますが劇症化すると命に関わることもある疾患です。肝硬変は長期の炎症により肝臓がシワシワになってしまった状態で肝機能が低下しており元には戻りません。肝不全は肝臓の機能が大幅に低下してしまった状態で、予後が悪く致命的な経過を辿る可能性が高い疾患です。
4 まとめ
今回は黄疸についてまとめました!
ひとことに黄疸と言っても、よくある疾患から重篤な疾患まで原因は様々です。
中でも閉塞性黄疸は胆石による感染を起こしたり悪性腫瘍の症状であることも多く、重要かつ緊急性のある疾患です。
そんな閉塞性黄疸について次回は説明したいと思いますので是非一緒に学んでいってください!
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