これまで、糖尿病について6回に分けて解説してきました。糖尿病がどんな病気で、検査や治療はどのように行うのか、全体像はおおまかに理解できたんじゃないでしょうか??
今回は、みなさんからいただいた糖尿病に関する疑問をもとに、まだ解説しきれていなかった内容についてお伝えしていきます!
1 糖尿病には種類があるの?
実は糖尿病とひとくちにいっても種類がいくつかあり、これまで解説してきた糖尿病は基本的に2型糖尿病を中心にしていました。種類によってそれぞれ原因も異なり、ものによっては原因を改善すれば完治できるものもあります。
①1型糖尿病
膵臓のインスリンを出す細胞(β細胞といいます)が破壊されてインスリンがほとんど出なくなってしまう病気で、原因はよくわかっていませんが、自分の身体が自分のβ細胞を攻撃してしまうという自己免疫の関与があると考えられています。遺伝による影響もなくはないですが、それだけで発症するわけではなく、感染やストレスなど様々な環境因子が引き金になると考えられています。若年期に発症しやすく、好発年齢は10~15歳です。インスリンが出なくなってしまうので、治療は基本的にインスリンの注射になります。
②2型糖尿病
一般的に糖尿病というと2型糖尿病を指すことが多く、中高年の生活習慣病の一つです。
40歳以上に多く、実は遺伝的素因が大きいんです。元々遺伝がある方が、肥満や運動不足、喫煙などの乱れた生活習慣を行うことで発症します。インスリン分泌の低下とインスリンがあっても効きにくくなる(インスリン抵抗性)という両面の作用で血糖値が上がりやすくなります。
③妊娠糖尿病
妊娠すると胎盤からインスリンの効果を下げるホルモンが分泌されて、血糖値が高くなりやすいんです。※妊娠糖尿病に元々糖尿病だった人は含みません。
他の糖尿病と同様に症状は基本的にありませんが、血糖値が高くなることにより母児ともに影響が生じやすくなります。流産や早産、帝王切開になるリスクがあり、児は巨大児になりやすく、また胎盤への血流が行きにくくなり十分な栄養や酸素が届かずに発育不全になる可能性があります。
診断された場合は食事、運動療法、インスリン注射での血糖コントロールを行います。
④その他の糖尿病
上記以外の原因で糖尿病になることもあります。
例えば、ステロイドという薬を内服していると高血糖になり糖尿病を起こします(内服をやめると治ります)。また、膵臓がんで膵臓を手術で摘出した場合や慢性膵炎で膵臓の機能が低下している場合にもインスリン分泌が低下して糖尿病になりやすいです。その他にも、バセドウ病や副腎疾患など内分泌系の疾患でも糖尿病になることがあります。
2 糖尿病になると長生きできないの?
糖尿病が進行すると様々な合併症が生じるため、糖尿病そのものではなくその合併症により命を失うことがあります。
日本糖尿病学会が2011年から2020年に渡り調査した結果、糖尿病の平均寿命は男性で74.4歳、女性で77.4歳でした。一方、厚生労働省が発表した2020年の平均寿命は男性で81.6歳、女性で87.7歳でした。

糖尿病の方が7~10年くらい寿命が短いですね
糖尿病の死因としては、悪性新生物(がん)や感染症、心筋梗塞、慢性腎臓病などが多いです。



糖尿病になると癌のリスクも高まると言われています。
3 血糖値の測定やインスリンで針を刺すのは痛い?
飲み薬だけでは血糖値のコントロールが悪い場合に、インスリン注射や血糖値の測定をご自身で行うことになります。
針はとても細いので刺す時に痛みは強くないですが、一瞬チクリと痛みを感じるのは事実です。
そこで、最近ではフリースタイルリブレという、腕に500円玉ほどの大きさの血糖測定器を装着して、スマホか測定器をかざすだけで血糖測定が可能になるという製品が出ています。2週間に1回貼り替えが必要ですが、その時もほとんど痛みはなく、血糖値も時系列でみれるのでとても便利です。


引用:アボット糖尿病関連製品サイト



患者さんからも針を刺さなくてよくなってとても便利ですと言われることが多いです。
4 糖尿病の薬で痩せるって聞いたんですけど、ほんとですか?
糖尿病の薬にはいろんな臓器へアプローチしたものがありたくさんの種類があるのですが、その中で胃の動きを抑えるものや尿に糖分を増やして尿量が増加するという作用のあるものもあり、その結果体重が減る薬があります。肥満が解消されれば、インスリンの効きも良くなるので一石二鳥のお薬です。
いわゆる「痩せ薬」と言われるもので、2010年代から巷で注目されています。日本では「糖尿病」しか保険適応が通っていないため、「肥満症」に対して処方される場合は自費で支払うことになります。
具体的には「リベルサス(内服)」、「マンジャロ(注射)」、「オゼンピック(注射)」なんかがよく販売されています。



吐気や便秘、下痢のような副作用が出ることがあります。
また、基本的に低血糖にはなりにくいお薬ですが、過度のダイエットや他の糖尿病薬も使用していると低血糖のリスクがあります。
5まとめ
いかがだったでしょうか?
血糖測定を針を刺さなくてもスマホや測定器をかざすだけで確認出来たり、痩せる効果のある飲み薬があったりと日進月歩で医療が進歩しています。ただ、新しいものや流行っているものが全て良いものとは限りませんので、医師に相談してそれぞれのメリットとデメリットを知ったうえで取り入れていきたいですね。
糖尿病は症状がないにも関わらず、様々な合併症を起こしたり感染症が治りにくくなったり、治療がしっかりできていないと寿命が短くなるような病気で決して侮ってはいけない病気なんです。
健康診断で自分が糖尿病でないかどうかを知り、もし糖尿病予備軍や糖尿病になってしまっていた場合には食事や運動、場合によっては薬物治療も組み合わせて合併症を起こさないようにしっかりと治療することが、健康寿命を延ばすためにとても大事です。継続することが一番大事ですので、地道にコツコツ頑張っていきましょう!
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