
これまでの記事で、糖尿病は症状が出にくいけど気付いた時には進行してしまっていることがあること、それによりたくさんの合併症が生じることを学びました。



そのために早期診断と予防が大事で、治療はHbA1cの数値を目標に食事や運動を中心にお薬での治療も行うんでよね。



薬はインスリンとかってよく聞きますけど、注射以外にもあるのかしら?



糖尿病って治らないって聞いたことがあるんですけど、一度なったらもうおしまいなの?
こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。
これまで、糖尿病は症状が出にくく気付いた時にはすでに進行してしまっていることも多く、早めに診断して治療を行わないと様々な合併症に悩まされる可能性があること、そして食事や運動を中心とした治療が大事であるということについて解説してきました。
今回は、お薬を使用した薬物治療について解説し、また「一度糖尿病になったら治らないのか?」という疑問にもお答えしていきたいと思います!
この記事を書いた人


べっちょむ先生
資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。
消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。
一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。
1 糖尿病の薬物治療
糖尿病の治療について、前回は食事や運動といった非薬物療法について説明しましたが、それだけで血糖値のコントロールが出来ない場合にはお薬を使用していくことになります。



糖尿病治療は食事、運動、お薬をうまく組み合わせて行うことが大事です。
糖尿病の薬というとインスリン注射がよく知られていますが、血糖値を下げる飲み薬もあり、必要に応じてそれらを使い分けていくことになります。
①内服薬(飲み薬)
私たちが口から摂取した糖分が血糖として取り込まれるまでの間には様々なプロセスがあり、血糖値をコントロールする臓器は小腸、肝臓や筋肉、膵臓、腎臓など多岐に渡ります。
そして、糖尿病治療の内服薬には様々な臓器へのアプローチの仕方があり実はかなりたくさんの種類があるんです。
私たち医師はそれぞれの患者さんの状態(インスリン分泌が不十分なのか効きが悪いのか、心不全などの基礎疾患があるのかなど)と薬の特性に応じてどのお薬が最も適しているのかを考えます。
②注射薬(インスリンなど)
飲み薬でも血糖値がコントロールできない場合には、インスリンなどの注射薬を使用することになります。
インスリンは、膵臓で分泌される血糖値を下げる作用のあるホルモンです。内服薬とは異なり、直接ホルモンを注射で投与するということですね。



体の中には血糖値を上げるホルモンは多数ありますが、下げるホルモンは実はインスリンだけなんです。
インスリン製剤にはすぐに効果が出る速効型タイプと1回打つと1日中効果が持続する持効型タイプに大きく分けられます。また、インスリン製剤ではないですが週1回だけ使用するという注射薬もあります。
注射はお腹や上腕、大腿部、臀部などの皮下に自分で打っていただきます。毎回同じところに打つと皮膚が硬くなったり効果が悪くなったりするのでその都度部位はずらして打つようにします。
2 薬物治療の注意点
糖尿病治療薬は血糖値を下げる薬なので、飲み薬の一部やインスリンは時に低血糖を起こしてしまうことがあります。低血糖は高血糖よりもとても怖く、冷や汗や動悸、ふるえから始まり、ひどくなると意識が無くなって昏睡状態になってしまい、対応が遅れると最終的に死に至ることもあります。
もし症状を感じたら飴やジュースなどを摂取して安静にしましょう。運転中の場合は、すぐに車を停めるようにしてください。



もし低血糖を起こした場合は、薬の調整が必要ですので早めに医師に相談してください。
食事を摂ることが前提でお薬は処方されているので、食事を摂らない時には特に速効型インスリンや一部の内服薬は中止したほうが良いことが多いです。但し、熱があったり体調が悪くて食事が食べれない場合は逆に高血糖になることもあるので(シックデイといいます)、その時にどの薬を飲めばいいのか、中止した方がいいのか等を事前に医師に相談しておいてください。
2 糖尿病は治るの?
①糖尿病は治るの?
糖尿病は一度なると治らない病気、一生付き合っていかなければならない病気だと言われることがあります。
食事や運動をしてダイエットにも成功して、どんどん飲む薬の数も減っていき、ついにはお薬が0にもっていけることもあります。これでもう治療終了バンザイ🙌としたいところですよね。
でも、これでもう治ったから大丈夫だと思ってせっかく頑張ってきた食事制限や運動習慣をやめてしまうと、たちまち糖尿病が悪化してしまうんです。
それは、
「血糖が上がりやすい体質」だからなんです。
糖尿病と一度診断された方は遺伝的な要因もありますし、これまでの生活習慣の積み重ねで血糖が上がりやすい体質になってしまっているんです。ですので、食事制限や運動を頑張ってお薬が0になったとしても、これから先も食事制限と運動を継続していかないとまた悪くなってしまうんですね💦
②糖尿病の寛解
とはいえ、最近では糖尿病が完治した!とは言えずとも、糖尿病の寛解という概念が生まれています。
これは比較的新しい考え方で、体重管理や生活習慣の見直しなどにより、薬を使用せずとも血糖が正常に維持できている状態のことを指します。
具体的には、
・糖尿病薬を使用していない。
・3ヶ月以上、HbA1c<6.5%を維持。
できている状態のことを、糖尿病の寛解といいます。
この状態になれば、年に1-2回通院で検査をする程度で良いでしょう。



体質や診断した時の進行具合などにもよるので、寛解にまでなる人は多くはないですが、せっかく寛解したのであればお薬0を継続していきたいですね。
3 まとめ
今回は糖尿病の薬物治療と糖尿病の寛解について解説しました。他の病気と比べて、糖尿病のお薬は本当に種類が多岐に渡っており複雑なんですね。また、とても大事な薬なので処方されたら、それぞれの薬の働きや副作用に注意して使用してみて下さい。
食事や運動などの生活習慣の改善で寛解になれれば理想的ですが、糖尿病治療の目標は「糖尿病の合併症を起こさないこと」ですので、お薬を使用しながらでも目標を忘れないように治療を継続しましょう。
次回は、糖尿病シリーズ最後に糖尿病のよくある質問にお答えしていきたいと思います!
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