喘息持ちで普段は落ち着いてるのに、風邪を引いた後に咳が止まらなくなることがあります。
咳が止まらなくなって、喘息ってしんどいですよね…
前回はCOPDについてお話ししましたが、それに似た疾患に気管支喘息があります。ヒューヒューゼーゼーと音がして呼吸がしんどくなる病気で、比較的身近な病気ではないでしょうか。
気管支喘息は呼吸が苦しくなる病気で場合によっては命に関わる、実はとても怖い病気なんです。
そんな気管支喘息について今回はまとめていきたいと思います!
この記事を書いた人
べっちょむ先生
資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。
消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。
一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。
1 喘息ってどんな病気?
喘息は一言で言うと「アレルギーで気道が狭くなり呼吸がしんどくなる病気」です。
健康な方の気道は広く空気の通りが良いのですが、喘息の方は普段から気道が狭くなっていて発作が起こると粘膜がむくんだり痰が増えて、気道がさらに狭くなり呼吸が苦しくなります。
喘息の患者さんは日本で600万人以上いて、そのうち5-10%は重症、6割が成人といわれています。
喘息は子供の病気というイメージがあるかもしれませんが、大人になってから発症することが少なくないんです。
2 喘息の症状
症状は咳や喘鳴(ヒューヒューゼーゼーする呼吸のこと)、息苦しさなどがあります。
痰は少ないことが多く、夜から朝方にかけて発作的に症状がでることが多いです(重症になると一日中症状が続くことがあります)。
元々喘息持ちの方が何かのきっかけで増悪するという経過が多く、その増悪因子として最も多いのが風邪などの感染症で、次いでアレルギーやタバコ、ストレスなどが挙げられます。
3 喘息の検査
①スパイロメトリー
COPDの検査でも最重要検査であったスパイロメトリーです。大きく息を吸って全力で吐きだす、簡単に言うと「肺活量の検査」です。
息を吐きが悪くなること、気管支拡張薬という薬を吸入すると改善するということで診断します。
②呼気中NO検査
喘息の患者さんでは気道の炎症によって吐く息(呼気)に含まれる一酸化窒素(NO)が増加します。
大きく息を吸って10秒間息を吐くだけの検査で簡単に結果がでます。COPDでも少し上昇しますが喘息で特に高くなるので診断に有用です。
簡便な検査ですが、どこでもある検査ではないのでできる施設かどうか確認してから受診しましょう。
③レントゲン、CT検査
実は喘息患者さんではレントゲンやCTなどの画像検査では異常を認めません。他の病気を除外する目的に行います。
4 喘息の治療
喘息の治療は普段の安定している安定期と増悪して発作が起こった増悪時に分けて変わります。
喘息は体質による疾患で長期的に管理する必要があり、症状が表に現れないよう抑えることが大事です。
①安定期
安定期の治療は吸入ステロイドが第一選択になります。
かつて1950年の喘息死亡者数は1,6000人ほどでしたが、吸入ステロイドのお陰で最近は1000人程度まで減少しています。
吸入ステロイドで効果不十分な場合は他の作用のある吸入薬の合剤やステロイドの内服を行います。
それでも治療できない場合には2〜4週間に1回の皮下注射製剤や気管支サーモプラスティという気管支鏡治療もあります。
②増悪期
発作が起こると呼吸が苦しくなり窒息による死に至る可能性があります。
治療には短時間作用型β刺激薬(SABA)という吸入をしないと良くなりません。元々処方されて持っていれば使用して、持っていなければすぐに救急車を使ってでも病院を受診するようにしてください。
重症度などにより必要に応じて入院となることもあります。
5 喘息において大切なこと
喘息で大切なことは発作を予防する「長期管理」を怠らないことです。喘息は発作時に窒息死する可能性のある病気なので、中軽症の方でも発作を起こすと死に繋がることがあります。
発作を繰り返すと気管支の壁が硬く分厚くなり気管支の中が狭くなってしまい、発作をさらに起こしやすいという悪循環に陥ってしまいます(←気道のリモデリングといいます)。
重症ではないからと侮らないように、毎日の吸入治療を怠らないことが一番大事です。
また、早期の段階で診断することも大事です。喘息は見過ごされたり診断が遅れることがある病気でしたが、最近は呼気NO検査など簡単に診断できる検査もあります。咳が続く場合は一度受診してみましょう。
気管支喘息と似た病気に咳喘息というものがあります。次回は咳喘息について解説していきます!
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