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閉塞性黄疸

こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。

前回は黄疸についての解説をしました。

閉塞性黄疸という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、黄疸の中でも特に重要な病態です。

今回は閉塞性黄疸について解説したいと思います!

黄疸は聞いたことあるけど閉塞性黄疸ってなんだろう、なんだか難しそうだな~

この記事を書いた人

べっちょむ先生

資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。

消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。

一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。

目次

1 閉塞性黄疸とは

閉塞性黄疸というと漢字が並んでなんだか難しそうな響きがしますが、解剖が分かれば実はすごく単純なんです。

肝臓で胆汁(ビリルビンを含む液体)が作られて総胆管に流れ、一旦胆嚢という袋に溜め込まれます。食事を摂ると溜め込まれた胆汁が再度総胆管に流れ出て十二指腸に排出されて消化を助ける働きをします。←これが正常な流れになります

しかし、総胆管に何らかの通せんぼをするものが現れると胆汁の流れが悪くなり体の中に溜まってしまいます。すると、ビリルビン(黄色の色素を有する)が排出できずに体が黄色くなり(黄疸)、便が白くなってしまいます。←この状態を閉塞性黄疸と言います。

総胆管の閉塞による黄疸→閉塞性黄疸とよばれるのですね

2 閉塞性黄疸の原因

閉塞性黄疸の2大原因はズバリ、結石腫瘍です。

①結石

総胆管という管に石ができて胆汁の通りが悪くなります。石は胆嚢の結石が管に落ちることが多いですが、総胆管で生成されることもあります。

胆管は痛みを感じる臓器ですので石が総胆管に詰まると鳩尾~右上腹部に腹痛が生じ、溜まった胆汁が感染を起こして(胆管炎)発熱が起こります。

症状は、発熱・腹痛・黄疸ですね。

②腫瘍

総胆管に腫瘍が出来て胆汁の通りが悪くなると閉塞性黄疸を来します。

ほとんどが悪性腫瘍(がん)で、胆管癌や膵癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌が挙げられます。

これらの癌は早期で見つかりにくく、診断されたときには進行してしまっていることが多い癌です。しかし、黄疸として症状が現れて早めに検査した場合に早期発見できることがあります。

症状としては、結石の場合と違って痛みが出にくく、熱もでないことが多いです。

症状は黄疸だけということも少なくないです。

他にも、頻度は少ないですが自己免疫性膵炎や原発性硬化性胆管炎(PSC)、慢性膵炎などが閉塞性黄疸の原因になる疾患として挙げられます。

3 閉塞性黄疸の治療

総胆管結石で感染を起こした場合や癌がある場合、どちらの場合でも悠長にはしていられません。

胆管炎は最悪の場合、体中に細菌が蔓延して死に至る可能性がある疾患ですし、癌は早期治療が重要ですが手術や化学療法を行う前に黄疸を治しておく必要があります。

①抗生剤

感染を起こしている場合、まずは抗生剤で細菌をやっつける必要があります。入院で点滴の抗生剤を投与します。

②ドレナージ治療

抗生剤で感染のコントロールができたとしても根本的な閉塞が改善するわけではないですし、コントロールができない場合もあります。

そこで、胆管に溜まった汚い(感染した)物質やビリルビンを体外に排出してあげる必要があります(このことをドレナージと言います)。

方法は胃カメラを使って十二指腸乳頭という胆管の出口まで近づき、ストローのようなチューブを挿入します。

このチューブを挿入することで溜まった胆汁が腸(体外)に流されて、感染や黄疸が改善します。

さらに、胃カメラを使って結石を除去することも可能です!(右下の細長いものが石を取り出す器具で、その上の黒と黄色の物体が結石です)

4 まとめ

今回は閉塞性黄疸のキホンについてまとめました。

黄疸の原因は前回述べたようにいくつかありますが、閉塞性黄疸は頻度が圧倒的に多く早期の治療を要する病態です。

白目が黄色くなったり体が黄色くなったりした場合は黄疸が疑われますので、一刻も早く医療機関を受診して原因を調べてもらいましょう

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