こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。
胃癌って症状がないことが多いみたいだけど、早期で発見するのにいい方法はないのかな?
胃癌になりやすい人となりにくい人っているのかしら…
これまで、見逃せない胃癌の症状3選や胃癌の治療方法の解説をしてきました。
胃癌は早期では症状がないことが多いですが、早期で治療しなければ予後が悪くなってしまいます。ですので、早期で発見することが大切です。
今回は、胃癌の原因を解説し、早期発見や予防に役立つ方法をご紹介していきたいと思います!
この記事を書いた人
べっちょむ先生
資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。
消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。
一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。
1 胃癌の年齢別罹患率
まず、胃癌にかかりやすい性別、年齢をお示しします。
ご覧のように男性の方が女性よりも約2倍多く罹患しやすいです。
中高年以上で発症することが多く、特に50歳代から急増しています。
男性の方がなりやすいですが、性別は問わず50歳を過ぎると注意が必要ですね。
2 胃癌の原因
①ピロリ菌
胃癌の原因はなんと言っても、ピロリ菌です!
日本人では胃癌の原因の約99%にピロリ菌が関与していると言われており、胃癌の原因はほぼピロリ菌と言ってもいいでしょう。診断方法や治療法など、詳しくはピロリ菌とは(前編)、(後編)を参考にしてください。
但し、ピロリ菌があれば全員胃癌を発症するというわけではなく、ピロリ菌を有する方の胃癌発生率は10年間で3%程度といわれています。
ちなみに、日本では胃癌が非常に多いのですが日本人のピロリ菌は欧米のものと比較して発癌性が高いことが東京大学医学部の研究チームにより明らかにされています。
②喫煙
2つ目は喫煙です。多くの癌のリスクに喫煙が挙げられますが、胃癌でも喫煙者は非喫煙者より2倍なりやすいと言われています。男性の方が女性より胃癌になる確率が高いのも喫煙が関係しているのかもしれませんね。
③塩分摂取
最後は塩分の摂りすぎです。これは、胃の中で食塩の濃度が高まると胃の粘膜がダメージを受けてピロリ菌を含めた感染や慢性的な炎症が引き起こされるためと言われています。
特に、イクラや塩辛、練ウニなど日本特有の食べ物で塩分濃度がとりわけ高い食べ物には注意が必要です。
3 胃癌の予防と早期発見に役立つ方法
ここまで胃癌にかかりやすい性別と年齢、発症リスクについて説明しました。
まずは自分が発症リスクがあるかどうか(特にピロリ菌感染の有無)を知り、そのリスクを回避することが大事です。
ピロリ菌に侵された程度や報告にもよりますが、ピロリ菌除菌によって発癌リスクは1/3程度まで低下するといわれています。
そして、症状で早期発見が難しい疾患ですので、胃がん検診を定期的に受けて頂き、癌ができていないかどうか調べることが早期発見の唯一であり最も確実な方法です。なんとも当たり前の結論で申し訳ないのですが、ピロリ菌がいなければ胃癌になる確率は極めて低いですので未感染の方は毎年の検査は必ずしも必要ではありません。逆に、ピロリ感染もしくは除菌後の方は毎年の検査が早期発見に特に重要になりますので、まずはピロリ菌がいるかどうか調べることが大事ですね。
4 まとめ
厚生労働省の指針では50歳以上の方に胃がん検診を行うことが推奨されています。ただ、30代や40代で胃癌になる可能性もありますので、心配であれば早いうちに一度検査しておく方が無難ではあると思います。また、ピロリ菌の除菌も早いうちに行う方が後々の発癌リスクが低くなりますので、その点でも自分の胃がピロリ菌に感染しているかどうかを早いうちに調べておくと良いでしょう。
予防や早期診断、治療で胃癌で亡くなる方が一人でも少なくなれば幸いです!
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