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ダンピング症候群とは?

こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。

胃癌など、胃の手術を行った後に必ず気にしなければいけない合併症として、ダンピング症候群というものがあります。今回はそのダンピング症候群について解説していきたいと思います!

この記事を書いた人

べっちょむ先生

資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。

消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。

一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。

目次

1 ダンピング症候群とは

胃は食べたものを溜め込んで消化する働きをしていますが、手術で胃を切除した場合に溜め込む機能が低下したり失われたりします。その結果、食べたものは胃に溜め込まれずに未消化のまま小腸に急速に流れ込んでしまいます

ダンプカーから土砂をどさっと下りていくようなイメージですね。

食べ物が急速に小腸に流れ込んでしまうことにより様々な症状が出てくることをダンピング症候群といいます。ダンピング症候群は食後に症状が出現する時間によって早期ダンピング症候群後期ダンピング症候群の2種類に分けられます。

2 早期ダンピング症候群

早期ダンピング症候群は、食後15~30分で起こり、急激な腹部不快感や吐き気、下痢、動悸、発汗、ふらつきなどの症状が出現します。

これは、食べたものが急速に小腸に流れ込むことによる物理的な刺激と腸に血流が取られてしまい脱水状態になってしまうことが原因です。また、消化管ホルモンも関係しているといわれています。

3 後期ダンピング症候群

後期ダンピング症候群は、食後90分~3時間程度で起こり、ふらつきや発汗、動悸、頻脈、失神などの症状が出現します。

これは、小腸に急速に食べ物が流れ込むことにより高血糖になり、インスリンが過剰に分泌された結果、低血糖に陥ってしまうという病態です。

低血糖は怖い病態で、失神や意識障害を起こすことがあります。もし、運転中や駅のホームなどで起こしたら生命に関わることがありますので、非常に危険です。低血糖になりそうな時って自分である程度わかる事が多いので、感じた時にすぐにアメちゃんを口に入れられるように常に持っておくようにしておいてください

4 予防と対策

胃で溜め込む機能が低下もしくは損なわれてしまって小腸に食べたものが急速に流れ込んでしまうことが全ての原因なので、できる限り緩やかに流すことが予防になります。

①ゆっくり、よく噛んで食べる

まずは、ゆっくりとよく噛んで時間をかけて食事を摂ることが大事です。少なくとも一食に30分はかけて食べるようにしてください。胃で消化する働きがなくなった分、消化にいいものを摂取したり口でお粥状になるまでかみ砕く必要があります。ひと口30回を目標にしてください。

②一食の食事量を減らす

どれだけゆっくりよく噛んで食べたとしても食事量が多ければ限界があります。もしもっと食べれると思ったとしても、毎食の食事は腹6~7分目にしておいてください。

③食事の回数を増やす

毎食の食事量を減らしながらも栄養をしっかり摂取するには回数を増やすしかありません。朝昼晩の3食に加えて間食を追加して、一日に5~6食に分けて食べるようにしましょう。

まとめ

胃の手術後の合併症は多岐に渡るのですが、特に注意しなければならないダンピング症候群について解説しました。

胃の手術を行うと残った胃の大きさにもよりますが、術後1~3ヶ月の間に10~20%の体重減少があると言われています。だんだんと体が慣れてきたり、自分でも食事の気を付け方が分かってきますが、少なくとも術後1年、とくにはじめの3カ月程度は食事に気を配って食養生を心掛けるようにしてください

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