これまでの記事で糖尿病は症状の出にくい病気、症状のない時から検査をする必要があるってことを知ったわ。
そうですよね、気づいた時にはかなり進行していて色んな合併症が出てきてるってことですよね。
でも、合併症って具体的にはどんなものがあるんでしょう??
こんにちは、消化器内科医のべっちょむです。
これまでの記事で糖尿病は症状がでにくいけど、症状が出たときにはすでにかなり進行している病気なので早めに健診などで検査をして診断することがとても大事だとお伝えしてきました。
そして、進行すると具体的にどんな合併症がでてくるのか、ちょこちょこ話には出てましたが今回はその怖い合併症についてまとめてお話していきます!
この記事を書いた人
べっちょむ先生
資格:内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓専門医。FP2級、簿記3級。
消化器内科を専門とし、病気だけでなく患者さんを幅広く診れる医師でありたいという思いから、2024年4月から訪問診療を行っています。
一児の父。映画鑑賞と温泉が至福の時。ゴルフとキックボクシングもやってます。
1 糖尿病の3大合併症 し・め・じ
まずはじめに、糖尿病になると様々な合併症が生じるのですが、それはなぜしょうか?
答えは、血液中に糖分が増えることによって、全身の動脈が狭くなって血流が悪くなるからです。
全身の血管が狭くなってしまうので、大きな血管から小さな血管までダメージを受けているのですが、細い血管の方が狭くなった時に血液の通りが悪くなったり詰まってしまいやすいので症状が出やすいです。
そこで糖尿病の3大合併症というものがあり、神経、眼、腎臓が障害されてしまいやすいんです。
頭文字をとってし・め・じと覚えておいてください。覚えやすいですよね。しかもこれ、障害される順番にもなっていて、神経→眼→腎臓の順番で障害されていきます。
糖尿病発症から、
5年~ 神経障害
5~7年 網膜症
10~15年 腎症
全員ではありませんが、糖尿病のコントロールが不良だと概ねこれくらいの年月で合併症が生じます。
2 糖尿病神経障害
まず一番初めに障害される神経障害について、
神経の中でも細い神経で特に長い神経から障害されますので、まずは足先がじんじんする感じや、しびれ、冷えといった症状が出始めます。
次に同様の症状が手先にも出現し、手袋靴下型神経障害なんて呼ばれたりします。
さらに進行すると、自律神経が障害されて立ちくらみなんかの症状が出ることもあります。
感覚が鈍くなるので痛みや温度、触覚を感じにくくなり、足に傷があっても気付かずに感染してしまい、最悪の場合下肢切断に至るということも稀ではありません。
3 糖尿病網膜症
次に障害されるのが眼です。眼の中でも特に眼の内側の網膜という所への血流が低下してしまって、眼がかすんだり視力低下、飛蚊症(視界の中に蚊のような小さな影が現れること)を自覚し、最悪の場合に失明に至ります。
初期ではほとんど自覚症状がないので眼科での検査が必要です。
失明の原因の2位が糖尿病網膜症です(1位は緑内障)。
以前は1位だったのですが、糖尿病の早期診断と治療が進んで2位になりました。
4 糖尿病腎症
最後に障害されるのが腎臓で糖尿病腎症といいますが、
高血糖のままでコントロールが不良な期間が何年にも及ぶと最終的に透析になってしまいます。
透析とは、腎臓の機能が廃絶した状態の方に行われ、週に3回通院して血液を抜いて浄化してまた戻すといったものです。
これに関しても初期では全く症状が出ないので尿検査や血液検査で定期的に検査を行い診断する必要があります。
透析導入の原因疾患の1位は糖尿病腎症です。
また、個人差はありますが糖尿病性腎症で透析となった場合の予後(生きられる年数)は厳しく5-10年程度とされています。
5 予防のために見直すべきこと
3大合併症について解説してきましたが、これらは糖尿病になると必ずなってしまうというものではありません。
逆にどういう人が合併症を起こすのかというと、糖尿病になってからも血糖値のコントロールが悪く、また、糖尿病以外にも高血圧や脂質異常症、肥満、喫煙など動脈硬化を引き起こす要素を持っている人がなりやすいです。
6 まとめ
今回は糖尿病の3大合併症の神経障害と網膜症、腎症について解説しました。
最悪の場合は下肢切断や失明、透析などどれも最終的にはとても怖い状態になる可能性があるものです。また、これ以外にも動脈硬化が進行すると脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなります。血糖値のコントロールと高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のコントロール、ダイエット、禁煙が大事になります。
次回は糖尿病の合併症を予防するために、何を目安に治療を頑張ればいいのか、糖尿病治療の目標について解説します!
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